自閉症とロボットのつながり

「自閉症とロボットのつながり」

医療法人社団 益友会 どんぐり発達クリニック理事長
医学博士 宮尾益知


 

成育医療センターにいた頃、友人から、「医療現場で使えないか、発達障害の子どもの役に立たないか」と思っているロボット学者がいる。医療機関は敷居が高く難しいので、なかなか置いてくれるところがないようだ、といって、大阪大学工学部システム創成専攻知能ロボット学研究室の石黒浩先生を紹介され、センターまで来ていただきました。そのときのなぜ自分がロボット研究を始めたのかについて、以下のように述べられていました。

自分とは、人間とはということを知りたいと思い、その考えを得るために二通りの比較方法があってひとつは自然界を対象にして虫や動物が人間と何が違うのか、猿と人間の境界はどこにあるのかなどを探る。もう一つは、人間が作り出す人工物を比較の対象にすることです。人類は創世記から自然界に適応し、あるいは克服して生き残るために道具を作り、動力や汽車、自動車、電気などの技術開発を続けてきました。機会は人間の機能を拡張するものであり、人間の能力をヒントに作られるものなのです。そして僕が手がけるロボットも人間を映す鏡としての人工物で「人間とは何か」という普遍の問いに、直接ロボット技術で応える時代に差し掛かってきたと思っています。」

 

ロボットが好きなのではなくて、人が好きなのだという言葉がすてきでした。私も人が好きですし、自分とは、「人とは」という命題を追求しています。発達障害という人たちを通して。その頃はまだ発達障害、アスペルガー症候群などの言葉はあまり知られていない時代で、ましてロボットと出会ったときにどう思うのか、ということさえ、誰も知らない時代でした。

まず、アンドロイド(アンドウサン)を成育の総合待合に置いてみました。アンドウサンは数通りの表情ができ、目や口が動きます。顔も左右に動かすことができ、キーボードを媒介に遠隔操作で話をすることができます。総合受付では、子供達も親も楽しそうに話をしていきました。次いで私が顧問をしている自閉症の人たちのための学校に、アンドウサンを持っていきました。高校生、大学生に人型ロボット(アンドロイド)であると説明した上で話をしてもらいました。対人恐怖があり、目を見ることも難しく、特に女性とは話のできない子供達でしたが、まるで人と話をするように話が進んでいきます。それも目をじっと見つめながら。それは親しい人と話をしているかのようでした。アンドウサンが「手を触ってもいいのよ」といったときには、「本当にいいのですか、痛くないですか」と答えていました。まるで親しい人と話しているかのように。そのあと、アンドウサンを遠隔操作をしていた大学院生の女性に同じように、一人一人と話してもらいました。そこにはいつも見ている目を見ることができない対人恐怖のある子供達がいました。先ほどの嬉しそうな、楽しそうな様子とはほど遠く。こうして、自閉症の人たちは人よりロボットとのコミュニケーションが取りやすいのはなぜだろうということ、かれらのコミュニケーションを改善する方法の一つに使えないだろうかと考えるようになりました。

<ロボットによるコミュニケーション研究を取り上げたテレビ放送>

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