「子どものひどい物忘れが、受診のきっかけに」

「子どものひどい物忘れが、受診のきっかけに」

医療法人社団 益友会 どんぐり発達クリニック理事長
医学博士 宮尾益知


 

中学3年生14歳の女性が、物忘れがひどい、片付けができないなどの訴えで受診されました。利発そうでかわいい女の子でした。お母さんからは、「小学校の頃は、勉強もできたし、細かく注意していたからか、忘れ物もそれほどではなかった」とのことでした。

中学校になってからは、「口うるさく言うことは、この子のためによくない」と考えるようになり、言うことをやめたそうです。その頃からだんだんひどくなってきて、部屋の中には脱ぎ捨てた洋服、プリント、食べかすがあちらこちらに落ちていて、足の踏み場もないそうです。時々強く片付けるように言って、一緒に片付けるときれいになるそうですが、三日と持たないそうです。家から出ると、鍵は開けっ放し、自転車の籠には荷物が置きっ放し…など、「この症状は、痴呆なのでは」と心配になって受診を決めたとのことでした。

 

本人と話をしましたが、あまり自覚も危機感もなく、反応は悪くはないのですが、「改善しよう」と言う意気込みは感じられませんでした。ただ、話が長く、何が言いたいのかよく分からない所が気になりました。友達も多く居て、部活でも活発に活動しているそうです。ADHD-RS(ADHD Rating Scale;ADHDの重症度の評価基準)では、不注意の項目が高く、多動・衝動性は低値でした。知能検査では優秀の領域でした。WM(Working memory;作動記憶。短時間に情報を記憶し、処理する能力)の項目、特に「逆唱」が低値で在ることより、「WM障害が基盤にあるADD」であると判断しました。対人関係・社会性の問題はなく、自閉症スペクトラムは否定的で、うつ症状もないため、二次障害はないと判断しました。

 

リタリンを使い始め、徐々に増量していきました。2ヶ月後、お母さんからの話では、忘れ物、鍵の閉め忘れなどが全くなくなり、心配なく留守も預けられるかも、との話が出てきました。部屋はまだ散らかっていますが、食べかすはなくなりました。3ヶ月後、お母さんからテストの間違いが劇的に減ったとの報告がありました。6ヶ月後、偏差値が30上がったそうです。

このころから、お母さんから、娘の父親についても相談が寄せられるようになりました。

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