言葉をそのまま受け取ってしまう「アスペルガー症候群」の少年への物語

アスペルガー症候群の少年と『葉っぱのフレディ』

医療法人社団 益友会 どんぐり発達クリニック理事長
医学博士 宮尾益知


10歳のアスペルガー症候群の子どもの外来を担当していた時の話です。
彼は、言葉をそのままに取ってしまうため、周囲から、からかいの対象になってしまっていたようでした。彼は、友達からはいつもいじめられていました。外来に来るたび、お母さんと本人から聞くのは、そのような話ばかりでした。

 

ある日、お母さんから、
「最近、いつもラーメンの汁を残さずに飲むようになって心配です。」
と相談されました。
本人に聞いてみると、友達から、「ラーメンの汁は煮干しから取るんだよ。煮干しは小さな魚で、煮干しになって、だし汁の中に出ていって、おいしいラーメンを作るんだよ。だからラーメンの汁には、煮干しの魂が入っているんだよ。だから残しちゃいけないんだ。」と言われたそうです。
確かに、そういう考え方もできなくはないけど、だからといって額面通りに捉える彼にも少し問題はありそうでした。

 

お母さんの心配は、「このままずっと続くと、成人病になるのでは」と言ったことでした。普通、心配をするなら「からかうにも程がある」といった話だと思ったのですが…。

 

その時私が彼に話したのは、葉っぱのフレディーの話でした。

春に生まれた葉っぱのフレディ。
葉っぱはみんな自分と同じ形をしていると思っていました。
でも、やがて、みんな少しずつ違う形をしていることに気がつきます。
フレディは、親友で物知りのダニエルから、自分たち葉っぱのことや季節のこと、いろいろなことを教わります。夏の間、楽しく過ごしたフレディ。秋になると、緑色の葉っぱたちは、それぞれ違う色に紅葉しました。そして訪れた冬。葉っぱたちが死ぬときです。そしてフレディは最後の葉っぱとなり、地面に降りていくのです。そのときはじめてフレディは 木の全体の姿を見ました。なんてがっしりした たくましい木なのでしょう。これならいつまでも生きつづけるにちがいありません。フレディはダニエルから聞いた“いのち”ということばを思い出しました。“いのち”というのは 永遠に生きているのだ ということでした。

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